こんな症状、あなたならどうする?

妊娠中の体重増加の程度と、出生したお子さんの結果の関連とは?

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こんにちは、Dr.アシュアです。

今回は、妊娠中の体重増加量についてお話したいと思います。

本邦でも妊娠中は、これくらいの体重増加にした方がよいという指標が出ています。

しかし、いざ妊娠してみたら、つわりがあったり、つわりが終わったら今度は食べたくなったり…、医者に言われることはわかるんだけど、実際に推奨されている体重増加を守るのって、それなりに大変・・。

良くある話ではないでしょうか。

 

それでは、実際推奨されている指標を下回ったり、上回ったりした妊婦さんは、最終的にどんな結果を迎えるのでしょうか。その妊婦さんから生まれたお子さんはどんな出生になるのでしょうか。

 

そんな疑問に答えるレビューをご紹介したいと思います。日本での推奨されている体重増加量とは違う部分があるので、書かれていることを全て自分たちに当てはめることはできませんが、納得いく結果が出ていました。

 

さて主役に登場して頂きましょう。

JAMA. 2017 Jun 6;317(21):2207-2225. PMID: 28586887

Association of Gestational Weight Gain With Maternal and Infant Outcomes: A Systematic Review and Meta-analysis.

Goldstein RF, et al.

 

では見ていきましょう。

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背景と目的-Background and Objective

BMIと妊娠中の体重増加は世界的に増加しています。2009年に、the Institute of Medicine(IOM)は、理想的な妊娠中の体重増加に関する推奨を提唱しました。

しかし、IOMガイドラインの推奨どおりの妊娠中の体重増加が、どのような妊娠の転帰や子供たちの未来に結び付いているかは分かっていません。

このような背景から、著者らは『妊娠中の体重増加がIOMガイドラインの推奨を外れていると、妊婦の転帰・子供の転帰にどう関係してくるかを評価すること』を目的に掲げました。

 

ちなみにIOMガイドラインで推奨されている妊娠中の体重増加は、妊婦のBMI毎に違っていて、以下のようなものでした。

IOMガイドラインで提唱されている妊娠中の体重増加

やせている女性(BMI<18.5)⇒妊娠中の体重増加: 12.5-18kg

正常な体重(BMI 18.5-24.9)⇒妊娠中の体重増加 11.5-16kg

過体重の女性(BMI 25-29.9)⇒妊娠中の体重増加 7-11kg

肥満の女性(BMI≧30)   ⇒妊娠中の体重増加 5-9kg

 

日本で推奨されている妊娠中の体重増加量は、だいぶ違うのでその点は強調しておいた方が良いでしょう。

詳しく見たい方はこちらをご覧ください 

妊産婦のための食生活指針-「健やか親子21」「妊娠期の至適体重増加チャート」から抜粋

   低体重(やせ) BMI 18.5未満 9〜12kg
ふつう BMI 18.5以上25.0未満 7〜12kg 
肥満 BMI 25.0以上 おおよそ5kgを目安

 

方法-Method

データベース

EMBASE、Evidence-Based Medicine Reviews、MEDLINE、MEDLINE In-Process

が1999年1月1日から2017年2月7日の間に検索をされました。

 

適格基準

下記の研究が今回のレビューに適格な論文とされました。

適格基準はこれ!

・英語で発表された観察研究で、18歳以上の女性における単胎妊娠の評価のデータが含まれた研究であること

・妊娠前のBMIカテゴリー別に妊婦を評価した研究であること

・母体のBMIおよび妊娠中の体重増加によって層別化されたオッズ比(OR)を示す研究であること

 

データ収集と分析

データは2名の独立した著者らによって抽出されました。

利用可能なデータをもつ研究のサブセットに基づいて、出生あたりのオッズ比(OR)および絶対リスク差(ARD)が計算されました。

主要転帰と二次転帰はそれぞれ3つでした。

 主要転帰:在胎週数に比して子どもが小さい(SGA)、早産、在胎週数に比して子どもが大きい(LGA)

 二次転帰:巨大児、帝王切開分娩、妊娠糖尿病

 

※在胎週数に比して子どもが小さいor大きいが理解しにくいです。

つまり40週0日で出生した赤ちゃんをたくさーん集めてくると、小さい子から大きい子まで様々な体格のお子さんがいます。

そこから正常範囲を計算して、大きく上下に外れている赤ちゃんを

出生身長・出生体重ともに10パーセンタイルを切る

 =“在胎週数に比して小さい赤ちゃん small for gestational age=SGA”

出生身長・出生体重ともに90パーセンタイルを超える

 =“在胎週数に比して大きい赤ちゃん large for gestational age=LGA” と言います。

 

SGAで出生したお子さんは将来的に低身長になることもあり、注意が必要です。SGAによる低身長については以前ブログでも触れていますので興味のある方はご覧ください。

CHECK
SGA性低身長のお子さんをもつお母さんとの会話から思う『低身長』

  『学校の保護者会とかで、この子の体が小さいから、私の栄養の管理がしっかり出来ていないんじゃないかとか、他のお母さんたちに言われたんですよね…』 こんにちわ!アシュアです。 最近の外来で、 ...

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またLGAや巨大児の場合は、経膣で生みにくくなりますし、出生後にお子さんの呼吸状態が悪かったりするケースもあるので、こちらもリスクです。

 

結果-Results

同定された5354件の研究のうち、23件(n = 1,309,136人の女性が含まれる)が選択基準を満たしていました。

妊娠中の体重増加は、ガイドラインを下回った妊娠が23%、上回った妊娠が47%でした。

以下に結果を示していきます。

結果①-1

推奨値を下回る妊娠中の体重増加は、SGAと早産の高いリスクだった。

SGA (OR, 1.53 [95% CI, 1.44-1.64]; ARD, 5% [95% CI, 4%-6%])

早産 (OR, 1.70 [95% CI, 1.32-2.20]; ARD, 5% [95% CI, 3%-8%])

結果①-2

推奨値を下回る妊娠中の体重増加は、LGAと巨大児のリスクを下げた。

LGA (OR, 0.59 [95% CI, 0.55-0.64]; ARD, −2% [95% CI, −10% to −6%])

巨大児 (OR, 0.60 [95% CI, 0.52-0.68]; ARD, −2% [95% CI, −3% to −1%])

結果①-3

推奨値を下回る妊娠中の体重増加と、帝王切開になるリスクの間には有意差はなかった。

(OR, 0.98 [95% CI, 0.96-1.02]; ARD, 0% [95% CI, −2% to 1%])

 

結果②-1

推奨値を超える妊娠中の体重増加は、SGAと早産のリスクを下げた。

SGA (OR, 0.66 [95% CI, 0.63-0.69]; ARD, −3%; [95% CI, −4% to −2%])

早産 (OR, 0.77 [95% CI, 0.69-0.86]; ARD, −2% [95% CI, −2% to −1%])

結果②-2

推奨値を超える妊娠中の体重増加は、LGAと巨大児のリスクを上げた。

LGA (OR, 1.85 [95% CI, 1.76-1.95]; ARD, 4% [95% CI, 2%-5%])

巨大児 (OR, 1.95 [95% CI, 1.79-2.11]; ARD, 6% [95% CI, 4%-9%])

結果②-3

推奨値を超える妊娠中の体重増加は、帝王切開になるリスクを上げた。

(OR, 1.30 [95% CI, 1.25-1.35]; ARD, 4% [95% CI, 3%-6%])

入手可能なデータの性質上、妊娠性糖尿病は評価できませんでした。

 

結論-Conclusions

100万人以上の妊婦を対象としたこの系統的レビューおよびメタアナリシスでは、23%がIOMの推奨を下回る妊娠中の体重増加を示し、47%がIOMの推奨を上回る妊娠中の体重増加を示しました。

推奨レベル内の体重増加と比較して、ガイドラインの推奨量より多いまたは少ない妊娠中の体重増加は、有害な母体および乳児の転帰のより高いリスクと関連していました。

 

なにが分かったか

日本での推奨される妊娠中の体重増加と大きく異なるので、今回ご紹介したレビューの結果を、すぐに目の前の患者さんに適応して良いわけではないことはとても大事な点ですから、強調しておかねばいけません。

しかし、本邦でも似たようなことは言われています。

つまり妊娠中の体重増加が少なすぎると、子供が小さくなる、早産になりやすくなる。ということですね。

海外での巨大なデータでも同じような結果が出ている事実は、とても重要でしょう。

また、推奨されている体重増加を超える体重増加が帝王切開が増えることにつながった、というのは、子供が大きく生まれやすくなることで経膣分娩が難しくなるケースが増えて帝王切開が増えた可能性もありそうですね。

今回は以上となります、何かの役に立てば幸いです。

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