小児科医ってこんな職業

小児科医になる道筋は、これが王道!~その①~

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この項では一般的な小児科医になる道筋を文章にしてみたいと思います。小児科医になる、と一言で言ってもそのパターンは様々です。多くのパターンがあると思われる(学士入学という一旦社会人になってから再度大学に入りなおす道筋もあります)ので、ここでは一番王道と思われる道筋を書いていこうと思います。

順序としては以下の流れが一番一般的だと思われます。

 

  1. 大学入試を経て国公立大学/私立大学の医学部に入学する
  2. 医学部での6年間 ⇒ はじめの2年間 準備学習(医学部1-2年)
  3. 医学部での6年間 ⇒ 臨床前医学学習を経て共用試験に合格する(医学部3-4年)
  4. 医学部での6年間 ⇒ 診療参加型臨床実習(医学部5-6年)
  5. 医師国家試験に合格する
  6. 大学病院/臨床研修病院 法に基づく臨床研修2年間を修了する
  7. 大学病院/臨床研修病院 後期研修として小児科医として研鑽を積む
  8. 小児科専門医試験に合格する

 

ここでは、まず医師になるまで。つまり5.医師国家試験に合格するまでを自分の経験も踏まえて書いていきたいと思います。

1.大学入試を経て国公立大学/私立大学の医学部に入学する

高校3年間を経て、もしくは浪人生活を経て、まずは、国公立大学/私立大学の医学部に合格しなければなりません。

国公立大学医学部の場合、センター試験でまずは全教科85%以上は確保できないと合格の可能性が低くなりますし、前期試験では5.0倍前後、後期試験だと15-20倍前後の倍率となっていますし、最近医学部の定員数が増加していると言っても、その門戸の狭さは私が医学部に入学した頃とあまり変化がない様子です。

私立大学でも、偏差値65以上が多くの大学での合格を決めるラインになっているところからすると、同様に基本的に狭き門であることは変わりがなさそうです。

そして、医学部に入学してみると思うのですが浪人生の割合も相当多いのもこの学部の特徴ではないでしょうか。普通に2浪くらいはチラホラ出会いますし、3浪して入学してくる人もまれではありません。

ここで大事なことは、医学部に合格する上で重要なのは全教科がくまなくできる=苦手な部分がなくフラットに能力がある、ことが重視されていることです。

自分が医学部に合格する前にもちろんセンター試験などで全教科を勉強してきましたが、正直地理・歴史・公民といった社会や、国語(特に古文など)は医者になる上ではいらないんじゃないかと思いながら勉強していました。確かに、社会や国語の知識自体はもちろん医者になる上では必要ではないのですが、医学部に入学した後の学習はいわゆる理系の学習<<<文系の学習と言っても過言ではなく、言い換えれば文系の学習=まずは知識、とにかく量を詰め込んで暗記・暗記・暗記…が必要とされます。

人体の構造(骨の一つ一つから血液の細胞の一種類一種類から…)は言うまでもなく、人体で起こる正常な営みのアレコレも、とにかく暗記・暗記・暗記…

私は理系人間でしたから、迫りくる覚えなければいけない量の膨大さから、入学して数年は医学部生としてやっていけるのか本当に不安な毎日を過ごしていました。今振り返ってみると、それをクリアし医師になる人材というのは、確かにセンター試験くらいは全教科を高得点できるくらいでなければいけないのだろうと、そう思います。

社会も、国語も大事!ということですね!

2.医学部での6年間 ⇒ はじめの2年間 準備学習(医学部1-2年)

はれて医学部に合格すると、医師の卵である医学部生になるわけですがすぐに専門的な学習に入るわけではありません。

多くの大学では専門的な学習に入るまでに一般教養という名目での授業があります。

ちなみに私が国公立大学医学部出身であるため、こちらに示す医学部の過ごし方は国公立大学のそれに傾いた内容になります。私大医学部生の場合は6年間の過ごし方が大きく異なる可能性はありますので、ご了承ください。

話は一般教養に戻りますが、その内容は、言語だったり、倫理学であったり…と様々です。これも正直医師になるためには必要なのか、、何とも言えない部分はあるのですが、、一般的な社会人と同様に『与えられた若干意味が分からないかもしれない課題でも、やれと言われたことはそれ相応のレベルでクリアしていく』という事は大事なんじゃないでしょうか。

兎にも角にも、まずは一般教養という名目での授業を受けていくことになります。

 

3.医学部での6年間 ⇒ 臨床前医学学習を経て共用試験に合格する(医学部3-4年)

一般教養が修了すると、ようやく医学の勉強に入っていきますが、臨床前医学学習という名の知識の詰め込みの開始です。

前述のように骨の名前を一つ一つ覚える、筋肉の名前を一つ一つ覚える、血管の名前を一つ一つ覚える、眼球の構造を一から十まで覚える、、、、etc.といった解剖学の授業が代表とされる基本的な医学の知識の習得です。

私の大学で思い出深いのは、人体模型の骨をとにかく1個1個、美術学生みたいにぜーんぶ鉛筆でスケッチして名称を入れていくのをひたすら、、、全身行った授業がありました。当然1時間や2時間で終わるようなものではないので、週1-2コマの授業がしばらく続くのですが、上手く書けていないと書き直しになることもざらでしたから、ほんと―に辛い授業の一つでした。

頭蓋骨に空いている血管や神経が通っていく穴を一つ一つ確認しつつ書く作業も、外科を目指す学生はもちろんのこと、小児科も含まれる内科でも大事な基礎的知識ですから、辛い授業でしたけれど大事な時間だったのだと思います。

あとは医学部として特殊な解剖実習も、基礎的な医学知識として大事ですし、医学部に来たんだという自覚・覚悟が芽生える意味でも意味深い実習です。

解剖実習ではもちろん防腐処理をされたご遺体を解剖し、人体の構造をそれこそ字のごとく『頭の先から足の先まで』理解していく、というものですが、ご遺体は『医学生の解剖のために自分が亡くなったら解剖検体として体を使ってください』という意思を生前に表された患者さんの尊い意思のもとにご提供されたものになります。

私も、今目の前にあるご遺体がそういった自己犠牲の意思のもとに存在しているという話を先生に聞いたその瞬間のことはよく覚えています。骨の実習とは違う実際のご遺体を用いた実習は、やはり圧倒的にリアルさが違いますから、当時学生だった自分にも、今自分が医学部にいて将来医師になっていくんだ、ということを強く感じさせられた本当に記憶に残る実習でした。

上記に示すような基礎的な医学知識の習得の後には、消化器内科領域、産婦人科領域、小児科領域、眼科領域などなど、診療科領域ごとの授業につながっていきます。

これらを修了したのち、医学部生に待ち受ける一つの関門があります。

それは、臨床実習にでる前に合格する必要がある共用試験というものです。現在は、知識を確認するペーパー試験(CBTと言われています)と、基本的な診察技能をチェックする技能試験(OSCEと言われています)がペアになっており、それにより一定のレベルの基礎知識・技能を習得していると判断されなければ、以降の実際の病院の現場にでて勉強していく臨床実習に進んでいけません。

4.医学部での6年間 ⇒ 診療参加型臨床実習(医学部5-6年)

共用試験をパスすると、ようやく医学部生は実際の病院の現場に出て実習を積んでいくことになります。ここまで基本的な知識や診療科領域の基本的知識を習得してくると、私は内科がいいかなぁ、私は耳鼻咽喉科がいいかなぁという、学生各々の希望も出てきますし、得手不得手もわかってきます。

しかし、医師になるためには広く色々な領域の知識が必要ですから、当然病院の現場での実習も広く色々な領域の現場に足を運ぶことになります。これが思った以上に大変で、私は完全に内科指向でしたから外科領域の実習が本当に大変でした。

外科領域の研修では、手術室に実際に入り手術の見学を行ったりするのですが、手術自体が1-2時間ではないので4-5時間立ちっぱなしで見学をしたりすることもありました(もちろん先生はずーっと手術をしているわけですが)。体力的に自信のない自分は、起立性低血圧(いわゆる世間でいうところの貧血です。医学的な貧血ではありませんが)を起こして倒れたりしたこともありました。

色々な領域の病棟を1か月ごとで回るのでコロコロ回りの環境が変わるわけです。そして、自分たちはただの学生なので仕事をしているわけではないから、基本的に医師・看護師さんたちの邪魔にしかならない、というような意識もあります。

結果、何もしてなくても気を遣うしやたら疲れるという状態で、ひっついている先輩医師が面倒見よくて色々教えてくれたりするときには、とっても嬉しかった記憶がありますが、先輩医師が忙しすぎて構ってくれないと本当にどう過ごしていいのかわからず、看護師さんにも邪魔者扱いされて訳もわからず辛い、といった記憶もありました。

どこの大学でもそうだと思いますが、実習は学生6-7人くらいのチームでずーっと卒業まで回るという形式だと思います。辛い時にもうれしい時にもチームの学生みんなで助け合って乗り越えていくという感じでした。

5.医師国家試験に合格する

臨床実習を乗り越えると、最後は医師国家試験です。というわけにはいきません。

まずは大学の卒業試験をパスすることが関門です。実習のチームだったり、仲のいい友達だったりで勉強会をしたりしてみんなで情報共有を行い、色々な試験を何とか乗り越えていくというスタイルが一般的だと思われます。1-2日で終わるわけではないので、ある程度の期間の中で、次々に試験を受けていく形になります。多量の過去問などを解きまくりながら、今はこの試験、次はあの試験といった感じで試験を受けまくる日々が続きます。

卒業試験も国家試験の準備のようなものですが、卒業試験を突破すると、目の前には国家試験が迫ってきます。ですから、卒業試験を片手にやりつつも国家試験対策を行っていくという形で医学部6年生は過ぎていくことになります。

ある程度要領も良くないと、医学部を卒業し医師国家試験を突破するということは叶わないのではないでしょうか。その辺りのことも、医師には求められているということなのでしょうね。

医師国家試験は、今でもそうだと思いますが3日間の体力勝負です。本当に体力勝負です。2回言いましたが、メインの内科・外科領域から、小児科・産婦人科といった領域から、皮膚科・耳鼻咽喉科というところまで、広ーい知識を試すので、ひたすら3日間マークシート試験をただただ解く、解きまくるという試験です。

禁忌肢と言われる、医師として絶対にこれを選択してはいけない、という選択肢は絶対に選んではいけない、というルールがあったり、必須科目では8割は越えなければいけない、といったものがあったりいくつか合格には越えなければいけないハードルがあります。

ただ、実際その試験を受けた自分の意見としては、とにかく3日間正常な判断能力で試験を完了する、ただそれだけのことがとても大変です。

1日目の試験が終了すれば、友達同士で答え合わせをしたりする人もいるでしょう。もしその中で、もし禁忌肢を選んでいるかも…といった可能性が出てきたらどうなるでしょう。メンタル的にかなりやられてしまうのではないでしょうか。試験に合格するそれだけを考えれば、終わったことは終わったこととして、とにかく2日間残った試験をしっかり解き終わる、これが大事であることはもちろんわかるのですが、もし禁忌肢を選んでいたらと思うと、残り2日正常な精神で過ごせるでしょうか。

医師国家試験の3日間はこういったメンタル面も試されています。いかなる状況においても、今できる自分のベストなパフォーマンスをとにかく発揮する、発揮できた人間が国家試験を突破できる、そんな気がします。とはいっても自分の大学の同期たちは、90%以上現役でこの試験に合格しましたから、同期たちがすごいということももちろんですが、自分の大学でそこまで鍛えてもらったんだというそういう感謝の気持ちも感じますね。

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