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こどもの身長はいつまで伸びる?5つの要素とは

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こんにちは、アシュアです。身体測定をきっかけに、お子さんの身長のことが心配になってしまうお父さん・お母さん、いらっしゃいますよね。私も良く外来で身長の相談を受けます。

『いつまで身長が伸びますか?』と質問されることがとても多いので、今回まとめておこうと思いました。

小児科医が『いつまで身長が伸びるか』を判定するときには、いくつかの要因を総合して判断します。

特に重要だと思われる5つの要素を挙げてみました。

ポイント

  • 両親の身長から導き出される目標身長
  • 成長の記録から導き出される成長曲線
  • レントゲンから導き出される骨年齢
  • 診察から導き出される思春期の段階
  • 病歴から導き出される生活習慣

順番に説明していきたいと思います。

両親の身長から導き出される目標身長

お子さんの身長の大部分は、遺伝的要素による部分が大きいです。良く身長のサプリメントなどのサイトに、努力でなんとかなるという趣旨のことが書いてありますが、やはり身長の大きな要素を占めるのは遺伝的要素です。

目標身長という計算式があり、お父さん、お母さんの身長からお子さんが最終的に行きつく身長(最終身長もしくは成人身長と言います)の目安を算出することが出来ます。

<女の子の場合>

目標身長=(父の身長+母の身長-13)÷2

<男の子の場合>

目標身長=(父の身長+母の身長+13)÷2

これは、

女の子:お父さんの身長を女性化(-13がそれです)して、お母さんと平均する

男の子:お母さんの身長を男性化(+13がそうです)して、お父さんと平均する

という計算式です。

ただし、この目標身長は上ぶれ・下ぶれを加味して考えなければいけません(Target rangeと言います)。

お父さん・お母さんが仮に100人こどもを作ったとしたら、大きい子は目標身長の上ぶれの方に、小さい子は目標身長の下ぶれの方に入ってくるということです。

小児科外来に身長のことで相談に来院されるお子さんのご両親はどちらかが小柄であったり(目標身長が低い家系という事です)、おじいちゃん・おばあちゃんの世代が身長が低いことが多いです。

逆にご両親のどちらかが大きめの身長で目標身長が高ければ、今は身長が低くても最終的な身長は悪くない可能性があります(もちろん成長を邪魔する病気はないという前提ですが)。

 

成長の記録から導き出される成長曲線

生まれた時からの身長・体重の記録をグラフに書いてつくる曲線を成長曲線と言います。実際の曲線はこちらをご覧ください。

日本人小児の体格の評価 小児内分泌学会HPより

お子さんが身長のことで小児科外来に受診するとまず初めに作成する資料になります。この成長曲線はとても大切で、成長曲線抜きでは身長の評価は不可能です。もし、小児科外来を受診して成長曲線を作らずに身長のことを評価されたら…かかりつけを変えた方が良いかもしれません。

こちらのサンプルをご覧下さい。

ここに書いてあるSDは標準偏差(standard deviation)の意味で、身長の+2SD~-2SDの間に同年齢のお子さんの95.5%が入ります。定義上、身長のSDスコアが<-2SDを低身長と言います。-2SD未満は、100人お子さんがいたら下から2-3人目くらいの印象です。

しかし、低身長と言っても様々なパターンがあります。ずっと低身長の子、今まで正常だったけど最近伸びが悪い子など色々です。

成長曲線を作った際、『こういう時は病院を受診したほうがよい』、というチェックポイントがあります。

それは、成長曲線の線を2本またいで下がるときです。

2-3歳から思春期の間は身長の入れ替わりがないことが普通です。この時期に理由なく身長の伸びが上下する(身長の伸びが悪くなるor良くなる)ことは、体の正常な成長ではない可能性があります。背景に病気が潜んでいる可能性があるということです。

上図のA、Bともに2本成長曲線をまたいで下がっており、もちろん病院に行った方が良いですが、Aの方がずっと危険です。

基本的にこの年齢では4歳過ぎからいきなり急に背が伸びなくなっているので、ここから重大な何かが起こっている様な…嫌な雰囲気がプンプンします。

いずれにせよ、成長に不安や心配がある場合には、小児科を受診するか、自宅で成長曲線を付けて見るのが良いでしょう。

万が一、成長曲線にこのパターンの変化があった場合は、早く病院を受診してください。

レントゲンから導き出される骨年齢

こどもの手のレントゲンを撮影すると、骨が小さく骨の一部分が帯のように見えません。ここは成長軟骨という場所で、軟骨細胞が活発に分裂を繰り返している場所です。軟骨はレントゲンでは見えないので、骨が一部分抜けているように見えるというわけです。これを骨端線と言います。線と書いてありますが、見えない線です。

この骨端線の大きさを見る事で、骨の年齢を推定することが出来ます。実年齢のほかに骨年齢という概念があるということですね。

身長が伸びるという事は、骨が伸びるということです。

骨が伸びるという事は成長軟骨が“まだある”という事です。

成長軟骨が“無くなる”と骨が伸びなくなるので、これ以上身長が伸びないという事になります。

この骨年齢からは色々なことが分かりますが、私が外来診療で特に大事にしていることは、次の2点です。

注意ポイント

骨年齢から私が読み取りたいこと

  1. 実年齢と比較してどれだけ骨年齢が離れているか
  2. 今の骨年齢が、一番身長が伸びる骨年齢にまだ至っていないか

身長が小さいお子さんは、骨年齢<実年齢となっていることが多いです。逆に、身長が大きいお子さんは骨年齢>実年齢となっていることが多いです。

いずれにしても、骨年齢は実年齢±2年の間に収まっていることが多いです。

骨年齢が実年齢と大きくかけ離れている場合は、何らかの異常がベースにある可能性もあります。

 

一番身長が伸びる骨年齢は何歳でしょうか。男の子であれば骨年齢13歳、女の子であれば骨年齢11歳がそれに当たります。

身長のことが心配で受診されたお子さんの骨年齢がこの段階を過ぎていなければ、私はホットします。なぜならそのお子さんは受診のその段階では身長が低いかもしれませんが、これから身長のスパートが来ることが予想されるからです。

 

この2点の確認のため、骨年齢は身長の診療に必須の検査です。また、骨年齢は成長のフォローのために、時間を空けつつ繰り返し評価する必要があります。

 

診察から導き出される思春期の段階

ぐーんと伸びる思春期はうれしいものですが、身長の診療にとっては嬉しいだけではありません。

思春期のホルモンが出てくると、もちろんグングン身長が伸びてくるわけですが、骨年齢もグングンすすみ、背の伸びしろもどんどん消費されてきます。思春期のホルモンが分泌されると身長増加のスパートが起こるのと同時に、身長が止まる時期が近づくということです。

実は、思春期のスパートで伸びる身長はほぼ決まっているので、思春期が始まるとその人の到達する身長というのがだいたい見えてしまいます。最終的な身長を考える上で「思春期が始まる前にどれくらい身長が伸びているか」が、非常に大事になるわけですね。

注意ポイント

思春期前の身長と最終身長の関係

・身長が高い状態で思春期が来れば、最終身長は高くなる傾向がある

・身長が低い状態で思春期が来てしまうと、最終身長は低くなる傾向がある

では思春期の開始時点はどこで見分けるのでしょうか。それはズバリ、体つきですね。

女の子の場合はわかりやすく、胸が出てくる段階が思春期の開始時点です。

男の子の場合は、精巣の大きさが4mlを超えた時点です。精巣大きさの診察にはオルキドメーターという専用の診察器具を用います。

女の子の場合はまだしも、男の子の場合は病院で専門の医師が診察しないと思春期の開始時点の評価は難しいと思います。

胸の発育や外性器の発育の段階は、医学的にはTanner分類(タンナー分類)という分類方法があり、上に示した思春期の開始時点はTanner 2度に該当します。

少し細かくなりますが思春期の開始時期と身長のスパートの開始時期は完全に一致しているものではありません。しかも、男の子と女の子で差があります。

女の子の場合は思春期のスタートの時期には既に身長のスパートは始まっていることが多く、男の子の場合は精巣容積が4mlを超えて思春期に入ってもまだ成長のスパートに入っていることは少ないです。

いずれにせよ思春期の時期や段階を評価するには、小児科で診察を受ける必要があります。

病歴から導き出される生活習慣

私は、低身長を主な訴えで来院するお子さんたちには必ず生活習慣を聞くようにしています。特に食事・便通・睡眠のことですね。

冒頭に身長は遺伝的な要素が大きいと書きましたが、それ以外に「できること」として生活習慣を正すことはどのお子さんでもできます。

例えば、食事についてはバランス良く必要な栄養素が摂取できているかどうかはどの年齢層でも成長・発達に非常に重要です。特に0歳から2-3歳までの年齢では身長を伸ばすには1にも2にもまずは栄養です。成長ホルモンの分泌が全くないお子さんでも栄養を摂取していればこの年齢ならば背が伸びるというくらい栄養が大事です。私の外来では問診をして、栄養のバランスや量に心配があるなと感じた場合は、栄養士さんへ紹介し適切な評価とアドバイスを受けてもらうようにしています。

実は年齢層によって背を伸ばすのに大事な要素が違うのですが、それはまた追ってブログにupすることにしようと思っています。

便通は、食事とも密接に関連しています。

・食事摂取量が少なかったりバランスが悪い⇒便が出にくい

・便が出にくい⇒食事摂取量が少なくなる

いずれの可能性もあり得るので、便秘は治しておく必要があります。便通を治すことによって身長の伸びが改善したという論文もあり、以前私のブログでも紹介したことがありますので、興味のある方は是非読んでみてください。

便秘治療をすると背が伸びる?ほんとうでしょうか、その関連性とは?

最後の睡眠は、身長に直接関係するというよりも、健康面全てに関係する事項です。特に早寝・早起き・朝ごはんは、栄養摂取にも良いだけではなく頭の良いお子さんを育てる上で必須の生活習慣です。

私の外来に来た患者さん、全てのお子さんの身長を改善してあげることはできませんが、せめてより健康でより好ましい人生を送るための手助けができればと思っています。

まとめ

いつまで身長が伸びるかはいくつかの要因を総合して判断します

ポイント

・両親の身長から導き出される目標身長とその上ぶれ・下ぶれを理解しましょう

・身長の心配があるならば、成長曲線を作ってみましょうor作ってもらいましょう

・骨年齢を評価してもらい、実年齢との差、思春期の時期の予測をしてもらいましょう

・小児科医に診察してもらい、思春期の段階の評価をしてもらいましょう

・望ましい食・睡眠・便通の知識を持ちましょう

 

いかがでしたか?小児科ではこのようなことを行っていつまで身長が伸びるかを評価しています。小児科を受診する前後に参考になれば幸いです。今回低身長のお子さんに行う血液検査には触れていませんが、また機会があればそちらについても書いてみたいと思います。

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