子育て論

子どもの理想の睡眠時間は?アメリカの推奨と日本の実状を比較

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Dr.アシュア
こんにちは、Dr.アシュアです。

週末や、連休、そして長期休みなど集団生活が途切れるとついつい夜更かしになり、睡眠不足になってしまう。我が家でもそうです。

こどもの睡眠時間って、どれくらいが理想なんでしょうか。やっぱり適正な睡眠時間って健康に直結するんでしょうか。

Twitterでのフォロワーさんとのやり取りや日常診療でも、こんなやり取りがあるものですから、一度徹底的に調べてみよう!と思ったのが、今回の投稿のきっかけです。

こどもの睡眠時間に関して、理想的な睡眠時間はどのくらいなのかについて、アメリカでの推奨を明記し、日本の子ども達の睡眠の実状と照らし合わせて、話していこうと思います。

注意ポイント

こどもの最適な睡眠時間は、何時間か~アメリカ睡眠医学アカデミーの声明より~

・4〜12か月は1日に12〜16時間(昼寝を含む)

・1〜2歳は1日に11〜14時間(昼寝を含む)

・3〜5歳は1日に10〜13時間(昼寝を含む)

・6〜12歳は1日に9〜12時間

・13〜18歳は1日に8〜10時間

J Clin Sleep Med. 2016 Jun 15;12(6)

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そもそも、なぜ睡眠時間が健康に大事か

アメリカ睡眠医学アカデミー(AASM)からの睡眠時間に関する声明から、こどもの睡眠時間の不足や過剰が健康のリスクであることが示されています。

この声明は、アメリカ小児科学会、睡眠研究協会、米国睡眠技術学会によって支持されているものであり、信頼性は高いと思います。

 

・不十分な睡眠はまた、事故、傷害、高血圧、肥満、糖尿病、うつ病のリスクを増加させる。ティーンエイジャーの不十分な睡眠は、自傷、自殺思考、および自殺の可能性の増加と関連している。

・毎日の睡眠時間が推奨された時間を超えることも良くない。高血圧、糖尿病、肥満、精神的健康問題などの健康への悪影響と関連している可能性がある。

J Clin Sleep Med. 2016 Jun 15;12(6)

 

さらに、睡眠時間を適正に保つことがこどもの健康を守ることにつながることについても言及されています。

 

・毎日推奨された睡眠時間を確保することで、注意力、行動、学習、記憶、感情調節、生活の質、精神的および肉体的健康を改善することができる。

J Clin Sleep Med. 2016 Jun 15;12(6)

 

日本の子ども達の睡眠時間はどのくらい?

日本小児保険協会のHPに参考となるデータが記載されています。

日本の小児の平均睡眠時間

・1歳で9.6時間

・3歳で9.8時間

・小学校3-4年生で9.2時間

・中学校で7.5時間

・高校生で6.6時間

公益社団法人 日本小児保険協会 ~子どもの睡眠に関する提言~

社団法人日本小児保健協会「平成12年度幼児健康度調査報告書」

財団法人日本学校保健会「平成10年度児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書」

 

ちょっとデータが古いのでもう少し調べてみると、「平成22年度 幼児健康度調査報告書」を見ることが出来ました。

これは1-6歳での就寝時間・起床時間を調査したもので正確には睡眠時間については記載はないのですが、下記のような記載がありました。

平成12年度の調査では子どもの生活が夜型になっている傾向が強くみられたが、

平成22年度の調査では就寝時間、起床時間とも前回より早くなっており、夜型は改善される傾向にあった。

平成22年度幼児健康度調査報告- 日本小児保険協会

乳幼児では、少なくとも平成12年~22年において睡眠時間に大きく変化はないようでした。

 

もう少し年長児ではどうでしょうか。

総務省の「社会生活基本調査」からの抜粋です。

10-14歳の平均睡眠時間 8.6時間

15-19歳の平均睡眠時間 7.7時間

総務省 平成23年社会生活基本調査

小学校高学年から高校生においては、平成10-12年度のデータより、最近は少し睡眠時間は長くなっているようです。

 

日本での子どもの睡眠時間の推奨は?

前に書いたように、日本小児保険協会から2003年「子供の睡眠に関する提言」が出されていますが、

必要な睡眠時間には個人差があるので、適切な睡眠時間を一概に示すことはできないが、適切な睡眠をとることの大切さを伝えていく必要がある。

という記載に留められています。調べた限りでは、公的な見解は出されていないようでした。

 

世界での子どもの睡眠時間の推奨は?

アメリカでは、2016年に先に示したアメリカ睡眠医学アカデミー(AASM)からの小児の睡眠の量に関する声明にて、年齢ごとの推奨される睡眠時間が明記されました。

J Clin Sleep Med. 2016 Jun 15;12(6):785-6.

Recommended Amount of Sleep for Pediatric Populations: A Consensus Statement of the American Academy of Sleep Medicine.

Paruthi S1, Brooks LJ2,3, D'Ambrosio C4, Hall WA5, Kotagal S6, Lloyd RM6, Malow BA7, Maski K8, Nichols C9, Quan SF10, Rosen CL11, Troester MM12, Wise MS13.

原文についてはこちらをご覧ください。

http://jcsm.aasm.org/ViewAbstract.aspx?pid=30652

 

以下引用を示していきます。

注意ポイント

こどもの最適な睡眠時間は、何時間か~アメリカ睡眠医学アカデミーの声明より~

・4〜12か月は1日に12〜16時間(昼寝を含む)

・1〜2歳は1日に11〜14時間(昼寝を含む)

・3〜5歳は1日に10〜13時間(昼寝を含む)

・6〜12歳は1日に9〜12時間

・13〜18歳は1日に8〜10時間

J Clin Sleep Med. 2016 Jun 15;12(6)

4か月未満の乳児の推奨がありませんが、これについては、睡眠パターン・睡眠時間の正常域が広く、健康成果との関連性が十分でないために含まれていないとの記載がありました。

 

その他、こどもの睡眠時間の正常値に関する大きなメタアナリシスや他の国での論文も見てみますと、

Sleep Med Rev. 2012 Jun;16(3):213-22.

Normal sleep patterns in infants and children: a systematic review of observational studies.

Galland BC1, Taylor BJ, Elder DE, Herbison P.

←2012年に報告された小児の睡眠に関する34の研究成果のメタ分析結果。

Pediatrics. 2003 Feb;111(2):302-7.

Sleep duration from infancy to adolescence: reference values and generational trends.

Iglowstein I1, Jenni OG, Molinari L, Largo RH.

←スイスのチューリッヒにて、合計493人の被験者が追跡された縦断研究。乳児期から思春期 までの睡眠時間の加齢変化を示したもの。

 

詳細は省きますが、各年齢の睡眠時間のばらつきが相当に大きいことが分かります。

 

つまり、こどもの睡眠時間の正常範囲はとても広いという事です。

 

アメリカ睡眠医学アカデミーの声明は、おそらく分かりやすさを出すために推奨の睡眠時間をビシッと言い切ったわけですが、

他の睡眠時間の研究を見ると、睡眠時間の正常範囲についてはかなりばらつきがあることはとても重要な点だと思います。

逆に言うと、これが日本において推奨される睡眠時間を名言していない理由だと思われます。

 

日本の実状とアメリカでの推奨とを比べて思うこと

日本の実状とアメリカでの推奨を再掲しますと

日本のこどもの平均睡眠時間

1歳で9.6時間

3歳で9.8時間

小学校3-4年生で9.2時間

中学校で7.5時間

高校生で6.6時間

 

アメリカ睡眠医学アカデミーが推奨する最適な睡眠時間

・4〜12か月は1日に12〜16時間(昼寝を含む)

・1〜2歳は1日に11〜14時間(昼寝を含む)

・3〜5歳は1日に10〜13時間(昼寝を含む)

・6〜12歳は1日に9〜12時間

・13〜18歳は1日に8〜10時間

 

1歳、3歳の日本のデータはおそらく昼寝をカウントしていない(平成10年のデータは睡眠時間と昼寝が別に記載されていました)ので、昼寝を入れれば概ね推奨される最適な睡眠時間に入っているのではないかと感じました。

しかし、小学校・中学校・高校生では、日本の最新のデータを見てみてもも、推奨される最適な睡眠時間が確保されているとは言い難い実状だと感じました。

 

まとめ

・毎日推奨された睡眠時間を確保することは、注意力、行動、学習、記憶、感情調節、生活の質、精神的および肉体的健康を改善する。

・現状日本でこどもの睡眠時間として推奨されているものはない。それは睡眠時間の正常値のばらつきがかなり大きいことを考慮しての配慮だと思われる。

・世界の睡眠時間に関する研究を見てみても、睡眠時間の正常値はばらつきがあるのは事実。しかし、アメリカ睡眠医学アカデミーが推奨する子どもの最適な睡眠時間は、一つの目安にはなると考えられる。

以上となります。参考になれば幸いです。

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