漫画「プラタナスの実」考察・解説

「プラタナスの実」第9話を小児科医が解説! 医師は1人では何もできない

こんにちは、Dr.アシュアです。

今回は2020/10/5から週刊スピリッツで連載されているマンガ「プラタナスの実」の第9話を、現役小児科医が考察・解説してみたいと思います。

「プラタナスの実」はドラマ化もされ人気を博した「テセウスの船」の原作者、東元俊哉先生の新連載の漫画で、小児科医療をテーマとして描かれている漫画です。

漫画の情報については公式HPをご覧ください。

東元俊哉「プラタナスの実~小児科医療チャンネル~」

東元先生にも企画について許可頂いており「プラタナスの実 考察・解説ブログ~非公式だけど公認~」ということで、がんばって考察・解説していきます。

今回は今年最後の話になるのかな?第9話について書いていこうと思います。

 

第7・8話で天才ピアニストともりんに潜む病魔が「骨髄性白血病」であったことが分かりました。ともりんの母は悲嘆にくれ、ピアニストとしてワールドツアーが控えていたともりんは、早期に病気を見つけてしまったマコ先生に怒りの感情をぶつけます。マコ先生は、ともりんとその家族の治療に寄り添うため、北広島市総合医療センターの小児科医になることを決意します。

それでは見ていきましょう!

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第9話のあらすじと、医師は助けてもらわないと何もできない、というお話

主人公の鈴懸真心(すずかけまこ)先生は、理研での契約が切れた4月から、北海道北広島市にうつり北広島市総合医療センターの小児科で働き始めました。天才ピアニスト&超人気YouTuberのともりんとの約束、彼女の骨髄性白血病を一緒に克服するために。

北広島市総合医療センターの小児科は、マコ先生の父親が立ち上げようとしている小児科です。マコ先生は父親に案内され、北広島市総合医療センターの色々な職種の人達に挨拶回りをします。

しかし母親の病死の件で父親と和解していないマコ先生は、普段のようなコミュ力を発揮することが出来ません。同僚となる色々な職種の人達に心を開くことが出来ず、差しさわりのない応対しかできないのでした。

そんな中「入院中の患者さん(市議会議員のお子さん)が病棟内からいなくなる」という新たなトラブルが発生するのでした。

東元俊哉「プラタナスの実~小児科医療チャンネル~」第9話より~

9話からはついに、マコ先生が北広島市総合医療センターの小児科で勤務することになりました。今後は、北広島市総合医療センターの小児科でお話が進んでいくんですね~。

病棟には、マコ先生がこの病院で勤務することになるきっかけとなった骨髄性白血病の患者さん「天才ピアニスト&YouTuberのともりん」がいましたね。

マコ先生、ともりんに話しかけられた時はいつも通りのハイテンションで返答していました(笑)。でも、マコ先生、父親に紹介されたコメディカルの人達(看護師さんを含めた医療に関わる様々な職種な方々です)には塩対応でした…。

やはり、母親を骨髄性白血病で亡くしたときの父との確執(まだ詳しくは語られていませんが…)がシコリとなっているんでしょうね。。。

超基本的な話ですが、医師の仕事はコメディカルの人達との連携が欠かせません。というか、コメディカルの人達がいないと医師は基本的に何にもできません。

どれくらい何にもできないか、例を挙げてみましょう。無数に出てきますよ(笑)

医師は助けてもらわいと何もできない

・レントゲン→医師は「レントゲン検査をする指示」は出せても、レントゲンを実際撮影することは出来ない(レントゲン技師さん助けて!)

・血液検査→医師は「血液検査をする指示を出して血液を採ることはできる」けど、実際に血液を処理して検査結果を出すことは出来ない(検査技師さん助けて!)

・点滴、薬剤→医師は「この薬をこれだけ使いたいという指示」は出せても、そもそも薬がどこにあるか分からない。薬を測ったり1日3回飲みやすく袋に分けたりなんてできない(薬剤師さん助けて!)

 

ビックリするくらい何にもできない(笑)。

オーケストラで例えて言えば、「医師は指揮者」なんて言われたりします。

オーケストラの指揮者は、全体の曲の流れを把握していて、バイオリン頑張って! ここはビオラ君たち出番! いよいよ来たよ~チェロの見せ場! みたいに曲の彩りを一番素晴らしくするように色々な演奏者を導きます。

医師の仕事は、指揮者と似ていて、患者さんの治療の全体の流れ(治療方針)を決めて、色々な職種の人に適材適所で仕事してもらうように指示を出すのが仕事です。

さらに言えば、様々な職種の人が働きやすいよう、分かりやすいように指示を出すように努力することも大事です。特に看護師さんには、分かりやすく誤解のないように指示を出さないと、上手く医療が提供されないので、お互いにすごく困ります。

ベテランの看護師さんなんかは、「指示の出され方」に習熟しています。若手の医師は指示の出し方がへたくそなので看護師さんに「先生、この指示の出し方だと勘違いしちゃうから出し直して!」「この指示が足らないから出して!」なんて教えてもらうことも日常茶飯事。僕も若い頃はずいぶん怒られながら教えてもらいました(笑)

ということで、指揮者である医師が様々な職種に「コレコレやってください」と適時に指示を出して、色々な医療職の方々の協力があって、はじめて患者さんに上手く医療が提供されるわけです。まるでオーケストラで1曲の曲が演奏されるように。

今のマコ先生の状態は「オーケストラの演奏者の皆さんが指揮者の方を向いているのに、指揮者であるマコ先生は指揮棒を持っていないというか、演奏者の皆さんの方をちゃんと向いていない」そんな感じで、ちょっと心配…ですね。

 

市議会議員の入院しているお子さんがいなくなった!?トラブルの予感しかしない…

マコ先生が、ちょっと新しい職場になじめずモジモジしている間に、どうやら入院中の患者さんが病棟からいなくなってしまったとのこと。ヤバいトラブルですね!!しかも行方不明の患者さんは市議会議員のお子さんらしく、なんと付き添いが秘書!!!

普通の総合病院の小児科の感覚だと、「付き添いは血縁者で祖父母までくらい」が常識ですから、、秘書が付き添いをしていること自体ルール違反ですよね。

それをゴリ押しして、自分ルールを通しているあたり、父親(or母親かも)の市議会議員はかなりの曲者&クレーマー気質なのではないでしょうか…。Dr.アシュアの曲者レーダーもビンビンですよ!

私も病棟で数々のクレーマーの対処をしてきました。というかクレーム対応が得意と見られているのか…困った親御さんがいると呼ばれることも良くあります。ありがたくねぇ( ノД`)シクシク…

最近では、当院のコロナ対応での付き添いルール、”付き添いの交代が出来ない”というルールがおかしいと、病棟の外で大声で看護師さんを威嚇している患者さんのお父さんの対応をしました。

このお父さん会社を経営しているらしく「病院のルールだから守ってほしい」とこちらが懇切丁寧に説明しているのに全く聞き入れず、「そのルールには根拠はあるのか、私は熱はないからコロナを持ちこむわけではないのだから今すぐ病棟に入れろ!!!」などと大騒ぎですごい剣幕でした。若干身の危険を感じるくらいで、危うく警備員を召喚しそうになりましたよ。すっごく大変でした。。。

コロナのことに関しては、医療サイドも患者さんサイドも不便を強いられているわけですし、こちらだって好き好んで付き添いのルールを厳しくしている訳じゃないのに…ちょっとはお互い協力しましょうよ…ブツブツブツ‥‥。全く、自分で会社経営しているかどうか知らんけど、、自分だけ特別扱いしろ的な雰囲気バリバリなんだよ!!…Shit!!! アッ、いけないいけない…ダークサイドに堕ちかけてた(笑)

話を戻しますが、ともかく「市議会議員の入院中のお子さんが行方不明事件」は、たくさんの人を巻き込んだトラブルの元になりそうです。次項では、なぜ大きなトラブルになりそうなのか、もう少し深掘りしようと思います。

 

「市立病院」と「市議会議員」の微妙な関係

北広島市総合医療センターは、おそらく「市立病院」だと思います。私が現実世界で所属している病院も同じ市立病院です。

市立病院の財政には市の財政が使われています。もちろんマコ先生のお給料や、マコ先生のお父さんのお給料も市の税金から出ていることになります。

市の税金を”どこに” ”どのように”割り振るのかを議会で議論しているのは、、、そう「市議会議員」です。

皆さんもうお分かりですよね?市立病院が安定した病院運営を続けていくためには、市議会議員が病院運営に協力的でないと困るわけです。

今、漫画の方では、市議会議員の入院しているお子さんが病棟からいなくなっているわけですが・・・。もしお子さんの発見が遅れて病気が悪化してしまったりしたら(まだ何の病気で入院しているか分かりませんが)、これは信用問題です。すでにゴリゴリのルール違反をしていそうな親の市議会議員は、多分激怒するでしょうね。状況によっては小児科そのものの存亡の危機にもなりかねません

今後のストーリー展開の予想にもなってきますが、もしかすると「患者さんを大事にしたいマコ先生の信念」「小児科のトップとして市議会議員に嫌われたくないマコ先生のお父さんの信念」がぶつかり合うストーリー展開になってくるかも・・・。

マコ先生のお父さんは、昔は大病院の病院長をしていましたよね。その頃のマコ先生のお父さんは、病院の収入を重視して赤字部門の診療科を切り捨ててしまうような、「お金>医療」のスタンスのドクターでした。今の北広島市総合医療センターでのマコ先生のお父さんの働きぶりを知る看護師さんは「そんなマコ先生のお父さんも今は変わった」というようなことを言っていましたが、本当にそうかなぁ…

もし、マコ先生とマコ先生のお父さんが医療に関する信念の部分でまたぶつかることになったら…。マコ先生とお父さん、2人の関係性は永久に壊れてしまうかもしれません。

 

最後に

今回は、第9話のあらすじから、医師が医療においてオーケストラの指揮者のような役割をしていることを書いてみました。

自分も小児科医ですが、今回の投稿を書きつつ、改めて医師を含めた様々な職種の人達が協力する事で医療が成り立っていることを再認識しました。日々感謝しつつ、仕事をしていかねばいけませんね。

さらに、ストーリーの内容を少し深掘りして、先のストーリーの予想もちょっぴりしてみました。

骨髄性白血病の天才ピアニスト「ともりん」の今後も気になりますが、病棟で起こっている新たなトラブルが今後どうなるのか気になりますね!今後も追っていきたいと思います!

 

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