こんな症状、あなたならどうする?

クループに対するステロイドの効果はどれくらいか?

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こんにちは、Dr.アシュアです。

夜間にオットセイの鳴き声ような咳で苦しくなり、眠れなくなって救急外来を受診する病気と言えば、、、そうクループ症候群です。

クループ症候群の咳はとても特徴的です。

救急外来の診察室に僕がいて、待合室でクループの咳をしていると、「あ!クループの子がいるね」とわかるくらいです。

その特徴的な咳は、犬が吠えているような、オットセイが鳴いているような、ゲンゲンと響くような咳です。

前にブログに書いたような、症状から診断することが困難なマイコプラズマと違い、クループ症候群は臨床所見ですぐに診断がつきます。

 

この病気は夜間に悪くなることが多く、救急外来でよく見る病気の一つなのですが、ステロイドが著効することが知られています。

今回は、コクランシステマティックレビューに、クループに対する特効薬のステロイドについてのレビューのupdateが出ていたのでご紹介します。

まずは、主役に登場してもらいましょう。

Cochrane Database Syst Rev. 2018 Aug 22;8:CD001955. PMID: 30133690

Glucocorticoids for croup in children.

Gates A, et al.

 

クループにステロイドが効くのは知ってるけど、どれくらい効果があるのかはやっぱり把握しておきたいところです。

では見ていきましょう。

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背景と目的-Background and Objective

グルココルチコイド(以下ステロイドと書きます)は、小児のクループに一般的に使用されています。

※論文中では、グルココルチコイドとして記載されている所を分かりやすく以下では、ステロイドとして書いていきますのでご注意ください

 

これは、1999年に公開され、2004年と2011年に以前に更新されたコクランレビューのupdateです。

著者らは、0-18歳の小児におけるクループ治療に対するステロイドの効果を検討することを目標に、最新の文献を加えてシステマティックレビューの改訂を行いました。

 

方法-Method

データベース

・the Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(Cochrane Library, Issue 2, 2018)

・Ovid MEDLINE(1946年 - 2018年4月3日)

・Embase(Ovid)(1996年 - 2018年4月3日)

・ the trials registers ClinicalTrials.gov(2018年4月3日)

・the World Health Organization International Clinical Trials Registry Platform (ICTRP)(2018年4月3日)

上記のデータベースを検索した上で、関連する系統的レビューと含まれている研究の参考文献のリストも検索しました。

 

適格基準

下記の研究が今回のレビューに適格な論文とされました。

適格基準はこれ!

・クループにおいて、グルココルチコイドの効果をプラセボまたはほかの薬物治療と比較したランダム化比較試験(RCT)であること

・対象が0-18歳の小児であること

・アウトカムとして、研究者が設定したものを報告している研究であること

(研究者が設定したアウトカム:クループのスコア、再来or再入院の数、入院日数、患者の改善度合い、追加治療を行ったかどうか、副作用)

 

データ収集と分析

ある研究者がそれぞれの研究からデータを抽出し、別の研究者がそれを検証しました。

メタ分析のためにReview Manager 5にデータを入力しました。

2名の研究者が1人ずつ、コクランのバイアスのリスクの評価ツールを使用して、各研究のバイアスのリスクを評価しました。

そして、GRADEアプローチを使用して主要な結果についてのエビデンスの確実性を評価しました。

 

結果-Results

著者らは今回のデータベースなどの検索で、79件の研究を見つけました。

重複を除外し、タイトル・抄録を読んだりして、最終的に今までのレビューに加え、330人の子供を含む5つの新しいランダム化比較試験を追加することになりました

このレビューには現在、合計4565人の子供を持つ43人のランダム化比較試験が含まれています

著者らは、ほとんど(98%)の研究をバイアスのリスクが高いか不明確であると評価しました。

以下に主要な結果を示していきます。

 

結果①

プラセボと比較して、ステロイドは2時間でクループの症状を改善した。

(標準化平均差(SMD) -0.65, 95%信頼区間(CI) -1.13~-0.18; 7RCT; 426人の小児; エビデンスの質は中等度)

 

結果②

クループに対するステロイドの効果は少なくとも24時間持続した。

(SMD -0.86, 95%CI -1.40~-0.31; 8RCT; 351人の小児; エビデンスの質は低い)

 

結果③

プラセボと比較しステロイドは、再診or入院orその両方の割合を減少させた。

(リスク比 0.52, 95%CI 0.36〜0.75; 10RCT; 1679人の小児; エビデンスの質は中等度)

 

結果④

ステロイド治療は、入院期間を約15時間短縮した。

(平均差 -14.90, 95%CI -23.58~-6.22; 8RCT; 476人の小児)

 

重篤な有害事象はまれでした。出版バイアスは明らかなものはありませんでした。

なお、小児のクループ症状を軽減するためのステロイドの最適な種類、投与量、および投与方法(内服、筋肉注射、吸入の比較)に関しては不確実性が残っていると書かれていました。

 

結論-Conclusions

ステロイドは2時間でクループの症状を軽減し、入院期間を短縮し、そして通院回数を減少させました。

 

なにが分かったか

クループに対して、ステロイドが効果があることは、小児科医にとって常識ですが、効果としては症状の軽減、入院期間の短縮、通院回数の減少とかなり強い効果があるということが確認されました

さらにステロイドの有害事象があまり報告されていないようです。

クループの病状は1-2週間と続くものではなく、多くは長くて2-3日です。ステロイドの投与が長期になりにくいというのも、有害事象が出にくい理由の一つかもしれません。

短期間ならばステロイド使用も恐れるに足らず、ですね。

 

おそらく日本で一番クループに使用されているステロイドは、”デキサメサゾン”、商品名で言えばデカドロンエレキシル®

ピンクの甘苦い、アレです。

デキサメサゾンと色々なステロイドについて、その効果が比較された論文が評価されていましたが、どれも研究の質やサンプルサイズがいまいちで、結論を導くには値しないものばかりとのことでした。

※比較されていたステロイド(ブデソニド、ベタメタゾン、プレドニゾロン、ベクロメタゾン)

つまり、どのステロイドが一番クループ症候群に良いかという議論には、今の所答えはなさそうです。

使用経験という意味で、やはりピンクの甘苦いアレ”デカドロンエレキシル”が秀でているという所でしょうか。

 

以前のレビューでは投与から6時間で効果が出てくるという記載がされていましたから、『2時間でステロイドの効果が出てくる』ということが新たにレビューで書き直された事項になります。

実際に、救急外来でクループ症候群のお子さんにステロイドを投与すると、1-2時間の短い観察期間でも効果が発現することは自分を含め、多くの小児科医が実感するところでしょう。

 

今回は以上となります、何かの役に立てば幸いです。

 

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