こんな症状、あなたならどうする?

市販の酔い止め薬どれを選ぶ?注意すべきポイント3つとは?

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こんにちは、Dr.アシュアです。乗り物酔いの基本的な事項自分で出来る簡単な対処法の2つをお送りしてきました。

 

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今回は3部作の最後の一つになります。乗り物酔いについての薬物療法です。さて見ていきましょう。

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酔い止めは何歳から必要か

ココがポイント

年齢:2歳未満の子供は、乗り物酔いになりにくい。乗り物酔いの発生率は約9歳でピークに達し、その後成人期に減少する。

Handb Clin Neurol. 2016;137:371-90.

平衡感覚が発達しだすのが2歳以降であり、平衡感覚が未熟な2歳未満のお子さんは乗り物酔いへの耐性が高いと言えます。

ですから、2歳までのお子さんを乗り物に乗せて旅行する際などは、あまり乗り物酔いのことは考えなくて良いと思います。

そもそも市販の酔い止めも使用できる年齢が3歳以降とされているものがほとんどです。

 

酔い止めの主成分について

乗り物酔いに対して使用される薬物には、しばしば鎮静作用(眠くなる作用)があります。

この眠くなる作用は、通常は薬物の副作用と捉えられることが多いですが、

寝てしまえば乗り物酔いにはならないと考えれば、酔い止め薬の場合、眠くなる作用は副作用と考えなくても良いかもしれません。

 

抗ヒスタミン薬

嘔吐中枢を抑制する効果、眠気が出る効果があります。

現在適応のある内服薬は、塩酸プロメタジン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナートが挙げられます。

これらは抗ヒスタミン薬の中でも、古くから使われているタイプの薬剤で第一世代と呼ばれています。

抗ヒスタミン薬は世代が古いと、中枢神経移行性が高いです。つまり中枢神経=脳に薬剤が届きやすいということです。

脳に抗ヒスタミン薬が影響を与えると鎮静作用が発現するため、第一世代の抗ヒスタミン薬は、副作用として眠気が強く出ます。

 

良く花粉症などで用いる第二世代の抗ヒスタミン薬(アレグラ、ザイザル、ジルテックなど)は、中枢神経移行性が低く、あまり眠くならないために動揺病(車酔い)の治療薬にはなりません。

 

ここで挙げた抗ヒスタミン薬のほかに、塩酸メクリジン塩酸ジフェニドールマレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン薬が使用されていますが、これらの抗ヒスタミン薬は全て第一世代です。

 

スコポラミン

ムスカリン受容体拮抗薬の一つで、副交感神経遮断薬です。

視覚情報と平衡感覚の混乱を抑える効果があり、酔い止め薬に良く配合されています。

スコポラミンの副作用には、鎮静、視力のぼけ、口の乾燥、および尿閉があります。

抗ヒスタミン薬と比べて作用の持続時間が短いため、眠気が出にくいという文面で乗り物酔いの治療薬に配合されていることもあります。

 

このスコポラミンと、前述の抗ヒスタミンを比較したメタアナリシスがあったので、ご紹介しておきましょう。

1025人の被験者を対象とした14件の臨床試験のメタアナリシスでは、スコポラミンはプラセボよりも効果的であった(リスク比[RR] 0.48,95%CI 0.32〜0.73)が、抗ヒスタミン剤より有効ではなかったかについては結論が出なかった。

Cochrane Database Syst Rev. 2011 Jun 15;(6):CD002851.

スコポラミンは、乗り物酔いになった場合、何も内服しないよりは効果がしっかりあるという事が証明されています。

 

小児に抗ヒスタミン薬は投与しても良いか

最近の小児科の風潮として、抗ヒスタミン薬は感冒薬としては使用を控える動きがあります。

Cochrane Databaseのシステマティックレビューでは下記ような記載となっています。

抗ヒスタミン薬(抗ヒスタミン薬+血管収縮薬):感冒には無効だけでなく,鎮静,興奮,呼吸抑制,幻覚などの副作用がある。

Cochrane Database Syst Rev. 2014 Nov 24;(11):CD001831.

2つのランダム化比較試験では、抗ヒスタミン薬のプラセボに対する咳嗽への治療効果はなかった。

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Nov 29;(11):CD009345.

 

ここまで書いてきてなんですが、酔い止め薬の主成分は「抗ヒスタミン薬」なので、頻用は避けた方が良いでしょう

という訳で、酔い止め薬は、修学旅行や遠足、校外学習など、ここぞという場面での使用をお勧めします。

ただ、普段使ったことのない薬を大事な場面でいきなり使用することはちょっとチャレンジングです。

イベント事が近づいてきたら、何もない休日のお休みに一度内服して試しておくなどしておいても良いのではないでしょうか。

 

酔い止め薬の飲み方のススメ

飲み方

非常に良いやすい人は、乗車の30分前から1時間前に内服しましょう。飲まずに乗ってしまった場合も、乗車中に気分が悪くなった場合、症状が悪くなる前に我慢をしないで酔い止めを服用しましょう。

心理的効果をバカにできないのが乗り物酔いでした。ですから、「この薬はとっても効くから、きっと大丈夫だよ!」と子供に暗示をかけつつ飲ませるのが効果的でしょう。

 

こういった時は酔い止め薬は止めましょう

抗ヒスタミン薬を使用している場合は、眠気が出ていないと本人が思い込んでいても、自分で気付かない程度の認知機能・注意力の低下があります。これはインペアードパフォーマンスと言って、科学的にも証明されている抗ヒスタミン薬の副作用です。

つまり、お子さんの能力を十分発揮しなければいけないシチュエーション、つまり何かの試験や大会などの時には酔い止めの使用は注意したほうが良いでしょう

試験・大会が始まる前に酔ってしまって辛くなる事と、酔い止めを使用して少しインペアードパフォーマンスが生じる事とを天秤にかけて考えることが必要だと思います。

 

こういったお子さんは酔い止め薬は止めましょう

第一世代抗ヒスタミン薬は、てんかんのお子さんにはお勧めできません。けいれんのしやすさを上げてしまう可能性があります。

ただし、熱性けいれんと診断されているお子さんで特に体調不良がないならば、乗り物酔いに対して一時的に内服することは、特に問題ないと思います。

また、スコポラミンは、閉塞性緑内障のリスクがある人々や、心疾患のある人には投与してはいけないので注意が必要です。

 

併用注意

塩酸メクリジンを配合してある酔い止め薬は、他の薬剤成分によって増強効果が表れるため、風邪薬、解熱鎮痛薬、鎮静剤、抗ヒスタミン薬などとの併用は止めたほうが良いでしょう。

その他の酔い止め薬も、特に市販の風邪薬との併用はかなり注意が必要です。

市販の風邪薬の中に含まれている成分と、酔い止め薬に含まれている成分が被ってしまい、過量になる可能性があります。

 

市販の酔い止め薬の選び方

酔い止め薬は、OTC医薬品として多く出回っています。薬局やドラッグストア、インターネットなどでの購入が可能です。

お子さんに酔い止め薬を購入しようと思った時にインターネットを見てみたり、薬局に行ったりすると、種類も多いしどれが良いのか困ってしまった親御さんは多いのではないでしょうか。

まずは購入の際のポイントを挙げてみようと思います。

酔い止め薬 購入のポイント

適応年齢を間違えないようにしましょう

飲めそうな剤形(薬の形)を選びましょう

眠くなる前提で飲むのか、眠くなりたくないのかで選びましょう

 

適応年齢を間違えないようにしましょう

当たり前ですが、お子さんの年齢とあう薬を選びましょう。

3歳以上、5歳以上、7歳以上、11歳以上が子供用になります。

15歳以上は年齢的には中高生も含みますが、体格的には成人として扱いになります。

薬品によっては、「〇歳~◇歳まで」という記載になっていることがあるので、しっかり確かめましょう。

 

飲めそうな剤形(薬の形)を選びましょう

剤形は、錠剤カプセルドリンクチュアブル(錠剤だけど口の中で溶ける)ドロップ(飴みたいなタイプ)があります。

 

年齢が小さい場合には、ドリンク、チュアブル、ドロップがオススメです

いずれも水なしで内服できるので、お子さんに持たせておけば水筒などが手元になくてもすぐに飲ませる事が可能です。

 

年齢が大きい場合には、錠剤、カプセルがオススメです。

かさばらないのが一番の利点です。ただし、錠剤・カプセルの場合は水がないと非常に飲みにくいため注意が必要です。

また、小学生に錠剤を飲ませる場合には、お子さんによっては飲むことが難しいことがあります。

事前にラムネをかまずに飲み込む練習をさせてみると上手く飲めそうかどうかの判断ができます。

 

眠くなる前提で飲むのか、眠くなりたくないのかで選びましょう

中枢神経興奮成分⇒無水カフェイン が入っている酔い止め薬は、眠くなりにくいように工夫されている薬剤です。

しかし、エナジードリンクなどにも含まれているカフェインはお子さんには好ましくない成分でしょう。ただし、酔い止め薬は毎日飲むようなものではないので、知識があるお母さん・お父さんこそ、迷う所ではないでしょうか。

 

「カフェインそのものが子どもには好ましくはないし、多少眠たくなっても酔わなければ安全な方がいい!」

⇒無水カフェインが入っていないものを選ぶといいでしょう。

「乗り物酔いもしたくないし、出来れば眠くなりたくない!」

⇒無水カフェインが入っているものを選ぶといいでしょう。

 

年齢別・剤形別・成分別の酔い止め一覧~Dr.アシュアまとめ~

酔い止め薬は、小児科では処方されることが少ない薬剤だと思います。

「酔い止め薬だけ処方してもらおう」と考えて小児科を受診される親御さんが少ないからでしょう。

自分の経験からも酔い止め薬については、普通の風邪の診療のついでに処方を頼まれたり、慢性疾患を見ていて定期的に来院される患者さんに頼まれたりと、それだけを目的に来院される方はほとんどいないという印象があります。

一般的には、酔い止め薬に関しては市販薬を購入される方が多いのだと思い、今回市販されている小児の酔い止め薬(Amazon、楽天で扱われているレベルのメジャーなもの)を、まとめてみることにしました

現在流通している酔い止め薬が全て網羅されているわけではありませんが、購入の際の参考になるのではないでしょうか。

※記事作成時点でAmazonで販売しているものに関してはリンクが貼ってあります

3歳以上で内服可能な酔い止め一覧

    抗ヒスタミン 抗コリン薬 中枢神経興奮薬
≧3歳で内服可能 剤形 クロルフェニラミン 塩酸メクリジン ジフェンヒドラミン ジプロフィリン ジフェニドール マレイン酸フェニラミン スコポラミン 無水カフェイン
センパア®プチベリー チュアブル            
センパア®Kidsドリンク ドリンク            
こどもティメル®錠 錠剤          
こどもクールスカイ® ドリンク          

 

5歳以上で内服可能な酔い止め一覧

    抗ヒスタミン 抗コリン薬 中枢神経興奮薬
≧5歳で内服可能 剤形 クロルフェニラミン 塩酸メクリジン ジフェンヒドラミン ジプロフィリン ジフェニドール マレイン酸フェニラミン スコポラミン 無水カフェイン
センパア®QTジュニア チュアブル            
トラベルミン®チュロップ ドロップ            
トラベルミン®ジュニア 錠剤            
トラベルミン®ファミリー チュアブル            
エアミット®サットF チュアブル          
カムニス®学童用 錠剤              
トリベミン®錠 チュアブル          
トラベロップ®QQ ドロップ            
チュアマシン®A チュアブル          

 

7歳以上で内服可能な酔い止め一覧

    抗ヒスタミン 抗コリン薬 中枢神経興奮薬
≧7歳で内服可能 剤形 クロルフェニラミン 塩酸メクリジン ジフェンヒドラミン ジプロフィリン ジフェニドール マレイン酸フェニラミン スコポラミン 無水カフェイン
センパア®トラベル1 チュアブル            
ティメル®錠 錠剤          
パンシロン®トラベルSP チュアブル            
アネロン®「キャップ」 カプセル          
レジャール®錠 錠剤            
レジャール®チュアブル チュアブル          
セイブ®錠 錠剤          
ポード®内用液 ドリンク            

 

≧11歳で内服可能な酔い止め一覧

    抗ヒスタミン 抗コリン薬 中枢神経興奮薬
≧11歳で内服可能 剤形 クロルフェニラミン 塩酸メクリジン ジフェンヒドラミン ジプロフィリン ジフェニドール マレイン酸フェニラミン スコポラミン 無水カフェイン
センパア®ドリンク ドリンク            
トラベルミン®R 錠剤          

 

≧15歳で内服可能な酔い止め一覧

    抗ヒスタミン 抗コリン薬 中枢神経興奮薬
≧15歳で内服可能 剤形 クロルフェニラミン 塩酸メクリジン ジフェンヒドラミン ジプロフィリン ジフェニドール マレイン酸フェニラミン スコポラミン 無水カフェイン
センパア®S 錠剤                
センパア®・QT チュアブル            
新アーター®内服液 ドリンク          
トラベルミン®1 チュアブル            
トラベルミン® 錠剤            
アネロン®「ニスキャップ」 カプセル          
トリブラ®プレミアム液 ドリンク          
トリブラ®プレミアム錠 錠剤          
レジャール®液 ドリンク            
カムニス®S 錠剤          
セイブ®内服液 ドリンク          

 

まとめ

今まで、乗り物酔いの基本的な事項、自分で出来る簡単な対処法の2つをお送りし、

今回は酔い止め薬の主成分、市販の酔い止め薬の選び方、そして年齢別・剤形別・成分別の酔い止め一覧をお示ししました。

酔い止め薬の選び方についてもう一度供覧いたします。

酔い止め薬 購入のポイント

適応年齢を間違えないようにしましょう

飲めそうな剤形(薬の形)を選びましょう

眠くなる前提で飲むのか、眠くなりたくないのかで選びましょう

自宅で酔い止め薬を購入される際にお役立て頂ければ幸いです。

今回は以上となります。

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