こんな症状、あなたならどうする?

日本脳炎ワクチンの初回接種の接種間隔についてご質問を頂きました!

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このたび読者の方からブログの投稿内容について質問を頂きました。

すでに回答し終わっているのですが、ふと「もしかして同じような悩みを持っているママさん達がいるのでは?」と思いました。

そんなわけで、今回はブログに書いた回答にもう少し根拠となる情報をつけて投稿することとしました。もちろん、質問を頂いた方にも許可を得ております。

それでは書いていこうと思います。

 

【質問】日本脳炎ワクチン初回接種2回目の接種の時期を迷っています!

ある日、下記の投稿をみて頂いたYさん(仮名)から当ブログにコメントを頂きました。

日本脳炎ワクチンいつから打つ?半年から勧められている地域があります

コメントは一部内容を改変しています。

日本脳炎の予防接種について調べていたらたどりつきました。現在こどもは2歳です。

豚の抗体保有率の高い地域に引っ越してきたため、3歳を待たず、流行時期の8月までに初回接種の2回を終了したいと考えています。

1週間前に1回目は打ちましたが、2回目の接種の時期を迷っています。

2回目は1ー4週の間にとなっていますが、 WHOだと4週目となっているのですが、どこで打った方が抗体が上がりやすいのでしょうか。

予防接種をしてもすぐには抗体ができないので、2回目も早めに打ちたいのですが、打つなら抗体がしっかりつくように期間をおいた方がいい気持ちもあります。

初回接種の2回目はいつがいいのか教えてください。

ブタの抗体保有率の高い地域に転居されてこられたYさん。お子さんが現在2歳とのことで確かに夏を迎えるにあたり心配なところですよね。

せっかく質問を頂いたので、今回色々な雑誌や情報を集めてみることとしました。初回接種2回の間隔は1-4週となっていますが、どのような間隔が最も効果的なのでしょうか。

【回答】日本脳炎ワクチン初回接種2回目の接種は1-4週のどこでもOK!

日本脳炎ワクチン初回接種の間隔について文献を探してみると、少し該当するものがありました。

昔のワクチンでは、初回接種の間隔は色々言われていた

日本脳炎ワクチン接種による基礎免疫獲得のための接種間隔は1-2週間隔で接種する方が最も強い抗体反応が得られる

-小児内科 32: 1770-1771, 2000 小児内科 39: 1779-1780, 2007-

 

過去の研究報告では、6日の間隔を置いて受けるより28日の間隔を置いて受ける方が同等あるいは免疫の獲得は良い

-予防接種に関するQ&A集, 日本ワクチン産業協会, pp72-84, 2012-

どちらの主張が正しいのか混乱しますが、安心してください!

これらの知見は「マウス脳由来型日本脳炎ワクチン」についての話であり、現在流通している「組織培養由来型の新しい日本脳炎ワクチン」に関しての情報ではありませんでした。

実際、2017年度版の予防接種に関するQ&A集, 日本ワクチン産業協会の『日本脳炎ワクチンに関するQ&A』では、初回接種の間隔の質問そのものが消えていました。前のバージョンではあったのに・・・。

そこで、今流通している新しい日本脳炎ワクチンの治験のデータを参照してみることとしました。

新しい日本脳炎ワクチンの治験のデータをひも解く

新しい日本脳炎ワクチンについての治験からのデータを参照してみますと、ワクチンの効果について4つの臨床試験が行われており、1つは成人対象で、3つが小児対象のものでした。

情報の元ソースの詳細はこちらのリンクから探せます。興味のある方はどうぞ。

医療用医薬品 情報検索

3つの臨床試験の内容を簡単にまとめた

3つの臨床試験は以下の内容でした。

①元のワクチンに比べて新ワクチンの効果が劣っていないかの検証 ~初回接種2回を用いた検証~

②元のワクチンに比べて新ワクチンの効果が劣っていないかの検証 ~追加接種1回を用いた検証~

③新ワクチンについて抗原量の多い少ないで効果が変わるかの検討 ~初回接種2回+追加接種1回を用いた検証~

 

臨床試験①を検証してみる

初回接種2回を用いた検討の①の臨床試験を見てみましょう。

①の臨床試験では患者さんを新ワクチン群と元ワクチン群にわけて、初回接種2回を行い、抗体が陽性になる確率を比較していましたが、

116人に新ワクチンを接種⇒抗体が陽性になったのは100%
107人に元ワクチンを接種⇒抗体が陽性になったのは100%

と、いずれも抗体価の陽転率は十分でした。

初回接種の間隔は1-4週と設定されていたので、対象になった116人の初回接種の2回目は接種間隔が1-4週でばらついていたことになります。

臨床試験③を検証してみる

抗原量2倍を含んだ製剤と、普通の抗原量を含んだ製剤と、半分の抗原量を含んだ製剤で患者さんを分けて、初回接種2回+追加接種1回を行い、抗体価が陽性になる率を検討していました。

抗原量2倍とか半分の抗原量の製剤は世に出回っているわけではないので無視して、普通の抗原量の製剤にだけ注目しましょう。

生後 6 月以上 90 月未満の健康小児 123 例(男児 67 例、女児 56 例)を対象として、日本脳炎ワクチンの第 1 期予防接種スケジュールを守って臨床試験を実施した。
最終的に122例の検討になったが、初回 2 回接種後の抗体陽転率は99.2%、3 回接種では抗体陽転率は 100.0%だった。

ここでも初回接種2回の間隔は1-4週と設定されていました。112例の患者さんで、接種間隔は1-4週でばらついていたはずです。

 

この2つの臨床試験をみてみると、『初回接種2回目が1-4週でばらついていたとしても、結果的に抗体価の上昇は良かった』と読んでも良いのではないでしょうか。

 

【まとめ】それで、実際、どうする?

色々と検討してみましたが、Dr.アシュアは

日本脳炎ワクチンの初回接種2回の間隔は、1-4週でどこで打っても抗体の上昇はそれほど変化がなさそうだ

と考えています。さてそれで、実際どうしましょうか。

夏前に抗体価を早く上げたいのならば、早めに接種して抗体価が早く上昇するのを期待するのが良いでしょう。

蚊が出てくるまでに時間があるのならば、家族の都合で1-4週のどこかで接種を行えばよいでしょう。

Yさんのケースでは、すでに1回目の接種から1週間は開いている状況ですから、夏を迎える前に早めに接種を検討してはいかがでしょうか。

 

ワクチンで上昇する中和抗体価の動きは、初回接種2回でドンと上昇し、追加接種でさらに上がるという推移をとります。

初回の接種に関しては接種間隔よりは2回接種した!という事実が大事なのだと思います

 

いかがでしたでしょうか。Yさん以外にも同じような疑問を持った方の助けになれば幸いです。

今後も頂いたコメントについて、みなさんでシェアしたほうが良いものがあれば、このような形でアップしていきたいと思っています。

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