こんな症状、あなたならどうする?

1型糖尿病のこどもにサマーキャンプが必須だと思う3つの理由とは?

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こんにちは、アシュアです。1型糖尿病のお子さんを持つお父さん・お母さん、本当にいつも頑張ってますよね。いつも外来をしていて頭が下がる思いです。今回は、私が思っている1型糖尿病のお子さんにはサマーキャンプはもはや必須ではないか!?というお話です。必須だと思っている理由は主に3つあり、順番にお話していきたいと思います。

その理由、3つあります

『病気なのは自分だけじゃなかったんだ!』という実感を得られるから

新しいことにチャレンジできる特殊な環境だから

ちょっと先の人生を送っている先輩患者さん達から話を聞くことが出来るから

とその前に…1型糖尿病、糖尿病サマーキャンプについてご存知のないお父さん・お母さんもいると思います。そういう方にはまず導入部分を読んでいただければ、比較的スムーズに話に入っていけると思います。1型糖尿病ではなくても慢性疾患(ネフローゼ症候群などなど)を持っているお子さんを育てているお父さん・お母さんには、少し共通項のある話ではないかと思うので、是非ご一読いただけたら幸いです。

【導入】1型糖尿病とは?

いわゆる生活習慣の乱れから肥満・メタボリック症候群になって起こる2型糖尿病とは異なり、血液の中の糖分(血糖値といいます)を下げるホルモンであるインスリンが出なくなって起こる病気が1型糖尿病です。

頻度はとても少なく、1万人あたり1-2人と言われています。

1型糖尿病のお子さんは、インスリンを外から補充しないと生きていけません。今の所、インスリンは飲み薬がありません。注射製剤しかないので、1型糖尿病のお子さんは、毎日複数回インスリン注射を行って生活しています。

血液の中の糖分が急激に下がったりすると低血糖が起こります。ぼーっとしたり冷や汗をかいたりする症状のほか、重い低血糖になると意識がなくなったり、痙攣を起こす可能性もあります。そのため、1型糖尿病のお子さんは1日に複数回指を針で刺して血を出して血糖値を測る必要があります。

インスリン注射、血糖測定。1型糖尿病のお子さんは毎日たくさん針を皮膚に刺さなければいけない生活を送っています。

 

【導入】糖尿病サマーキャンプってなんぞ?

いわゆる病気のお子さんを対象にして行うキャンプの一つです。1型糖尿病の子どもを集めて、親や医療者の管理のもとに、野山でキャンプを行います。キャンプをする中で、糖尿病の知識や技術を学び、かつ日頃行えないようなスポーツに挑戦したりします。

日本では、1963年に千葉県房総勝浦で丸山先生らによって初めて行われ、次々に全国に広がりました。サマーキャンプには、参加者である1型糖尿病のこどもたちのほか、色々な人々が協力者として参加しています。

参考に私が参加しているサマーキャンプでの参加者の業種を挙げてみました。

 参加者    :1型糖尿病の子ども達

 運営  :1型糖尿病の子ども達の両親

サポーター:医師(小児科医・内科医)、看護師さん、栄養士さん、製薬会社の社員さん、

      ポストキャンパー(キャンプの卒業生=1型糖尿病患者さんです)

      ボランティアの方々(看護学生、医学生)

サマーキャンプは、県ごと医療圏ごとに作られているようですが、その運営形態は様々です。

私が参加している千葉県のサマーキャンプは、患者さんの親が運営していますが、医療者が運営するサマーキャンプもあります。愛知県では3つの病院が共同して運営しており、その規模もとても大きいです。

さて前置きはこれくらいにして、1型糖尿病のお子さんに、サマーキャンプが必須と思われる3つの理由についてそろそろ書いていくことにしましょう。

 

『自分だけじゃなかったんだ!』という実感はサマーキャンプが最適

1型糖尿病の患者さんが多い米国では、クラスに1人はいるような感覚で比較的メジャーな病気なのですが、日本の場合は1万人に1人で1型糖尿病のお子さんは珍しいです。普通に生活しているとめったに同年代で同じ病気のこどもには出会えません。

学校ではどのように過ごされているかというと、私が外来の患者さんに聞いた印象では、インスリン注射や血糖測定をするときに他のお友達から離れて行ったり、別室に行ったりすることが多い様です。

治療もありますし、1型糖尿病のお子さんは、病気のないお子さんに比べるとストレスの多い生活を送っています。

周りに同じ境遇の子どもがいないので、1型糖尿病のお子さんは、「なんで自分だけ注射しなきゃいけないの?」という気持ちになることが多いです。「どうして自分だけ」「なんで自分が」という負の感情が積み重なっていくと、注射を嫌がったり、生活の乱れにつながります。最終的には病気のコントロールが悪くなってしまいます。

ダークサイドに落ちかける患者さんを前に、私は外来で「同じ病気でも頑張って生き生き生活している人がいる」という事をこんこんと伝えるのですが、、、親御さんはわかってくれても、子ども達は言葉だけではピンとこないようです。

実際に同じ病気のこどもと出会って、友達になって、一緒にインスリン注射をして、一緒に遊ぶ中で「頑張っているのは自分だけではない」という実感が得られるのです。

こういうことは病院ではなかなか教えてあげられません。

 

新しいことにチャレンジしやすい特殊な環境

こどもはとても単純なものです。家だと勇気が出ず出来なかったことでも、環境が変わり友達がいたり周りが楽しくやっていたりする雰囲気だけで、「やってみようかな」「自分でもできるかも」と気持ちが変わります。糖尿病キャンプにはそんなプラスの雰囲気があります。

1型糖尿病サマーキャンプは、普段は接することのない1型糖尿病のお子さんばかりの中で人間関係がフレッシュです。同年代の友達だけではなく、少し年上の先輩患者さん達とも一緒にキャンプをすることになります。

ですから、普段は学校で人目を避けるようにインスリン注射や血糖測定をしていたお子さんも、周りの目を気にすることなく自然体でインスリン注射が出来ます。周りもみんな「ご飯を食べる前に手を洗うかのように自然に」インスリン注射や血糖測定をしています。

普段はインスリン注射や血糖測定をお父さん・お母さんに頼っていたお子さんも、

「みんな自分でやってる・・・、ちょっと恥ずかしいからキャンプでは自分でやろうかな」

「あんなやり方もあるんだ…。真似してみようかな」

と言った風にいつもの自分を簡単に飛び越えて、自立への一歩を簡単に踏み出すことが出来ます。

私も、自ら糖尿病キャンプに参加する中で、何人もの子供たちがキャンプの前と後では見違えるように成長した姿を見てきました。普段の生活とは、ちょっと違う特殊な環境の中にあえて無理して我が子を放り込んでみる、そういった親御さんの勇気が、結果となって表れたそんな瞬間でした。

 

横のつながりだけじゃない、縦のつながりだって出来ちゃう

1型糖尿病キャンプは、同年代の同じ病気を持った友達を作るだけではありません。少し上の年齢のお兄さん、お姉さんたちと知り合いになって、病気の管理のことや病気との向き合い方を学ぶことが出来ます。重ねて言いますがこれも病院ではまずできない経験です。

さらに、ポストキャンパーといってキャンプの卒業生(つまり1型糖尿病患者さんです)もキャンプに参加しています。

医師だったり看護師さん・薬剤師さんだったり、サラリーマンだったり、研究職だったり、大学生だったり・・・と色々な道に進んだ方がいます。

病気を持ちつつも、自らの努力で道を切り開いてきた、さらに先の人生を歩んでいる方からの話を聞いたりする機会もできるので、1型糖尿病の子ども達にとっては本当に有意義な時間だと思います。サプライズゲストで、1型糖尿病を持つ有名人が現れたりすることも…。

お父さん・お母さんにとっても、親同士のつながりを作ることが出来ます。万が一の災害の時には、こういった患者さん同士のつながりがあるのとないのとでは、リスクに雲泥の差があります。平時の時からこういったつながりを持っておくことは、今の時代にとても必要なことだと思います。

 

まとめ

1型糖尿病のお子さんは、絶対に糖尿病サマーキャンプに参加したほうがいい!!

その3つの理由は・・・?

サマーキャンプに参加すると、『病気なのは自分だけじゃなかったんだ!』という実感を得られるから
サマーキャンプは新しいことにチャレンジできる特殊な環境だから
サマーキャンプに参加することで、ちょっと先の人生を送っている先輩患者さん達から話を聞くことが出来るから

いかがだったでしょうか。もし身近に1型糖尿病のお子さんを持つお父さん・お母さんがいらっしゃったら、サマーキャンプおすすめらしいよ、と是非声をかけてあげて欲しいです。

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