雑記

鬼滅の刃より、小児科医が肥満予防のための「食の呼吸」を考案してみた

こんにちは、Dr.アシュアです。

劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」興行収入歴代一位の快挙となりましたね!本当に素晴らしい!

私も鬼滅の刃はジャンプ本誌で連載当初から読んでいて、コミックスも全巻揃えたファンの一人です。

アニメも映画も、映像はキレイなのはもちろん、この技はこんな動きなのか!という驚きもあり本当に素晴らしいのですが、個人的には前から「鬼滅の刃は言葉の力がすごい」と感じていて、名言がたくさんありますよね~。映像でセリフとして明言を「聞く」のもよいですが、やっぱり活字で「読む」とグッときますよ。アニメや映画から入ったファンの人には、是非是非コミックスを手に取ってもらい、活字で名言を体験してもらいたいな~と思っておる次第です。

今回は「劇場版 鬼滅の刃」の大快挙を祝して、「オリジナルの呼吸をDr.アシュアが考えてみた!」という趣旨でお送りしたいと思います。

時々Twitterで話をしていることですが、子どもの肥満の治療というのは非常に難しいです。食の見直しや生活の見直しが非常に大事なわけですが、肥満児や肥満児を抱えるご家族も「分かっていても止められない」という所がありなかなか修正が難しいのが現実です。

小児科医も毎回の外来でこんこんと食事や生活の話をするのだけれど、家族や本人になかなか響かず、減量困難で困っている…というのは、どこに行っても良く聞く話です。

そこで、大人気の鬼滅の刃の力を少しお借りできないか?と考えたわけです。

ご存知の方も多いと思いますが、鬼滅の刃にでてくる鬼殺隊の隊士は、鬼に効果がある特殊な刀「日輪刀」と、「呼吸で身体能力を高めて繰り出す剣技」をもちいて鬼と戦います。主人公の炭治郎なら「水の呼吸」「ヒノカミ神楽(=日の呼吸)」を使っていましたよね。

今回は、肥満になりにくい食生活のポイントをオリジナル呼吸「食の呼吸の型」にのせて考えてみました題して「全集中 食の呼吸」です!

小児の肥満症に関してはエビデンスが少ないところが昔から皆が困っている所ではあるのですが、根拠の出どころを明確にするということで「小児肥満症診療ガイドライン2017」を参考文献として作成しました。

ちょうど今はお子さん達は長期休みでしょうか。食の呼吸を身につけて、太りにくい健康的な食生活を送り、食柱(しょくばしら)になりましょう!

はじめに今回考案した「食の呼吸」の全てをPDFでまとめたものを添付しておきます。

全集中 食の呼吸

※食の呼吸はDr.アシュアが勝手に考えたものなので、鬼滅の刃本編には何にも関係はありません!

 

壱ノ型 数多噛み

肥満になるお子さんの傾向として、「あまり噛まない→丸呑み→早食い→過食」という連鎖があります。あまり噛まずに飲み込む食習慣は、早食いにつながるだけではなく、急いで沢山食品を口に詰め込むことで、食品が喉に詰まってしまい窒息してしまうリスクもはらんでいるので、好ましくありません。

たくさん噛むことが、太りにくい食事&安全な食事の仕方として大事ということですね。お子さんによく噛むように促すことも大事ですが、それと同時に「たくさん噛まざるを得ないような食品を食卓に出す」ことも有用です。

普段提供しているお食事が柔らかいものばかりになっていないかは、時々見直すといいかもしれません。そのほか、普段から柔らかく調理しすぎないことや、少し大きめに切って噛まざるを得ないようにしたりと、できる工夫はあると思います。

目安として30回は噛むようにすると小児肥満症診療ガイドラインにも書かれていますが、現実的には時間がかかりすぎて難しいかもしれません。

 

弐ノ型 孤食断ち

「1人で食事をすることを孤食」と言いますが、これは「さすがに子どもに1人でご飯食べさせたりはしてないよ~」という親御さんは多いと思います。しかし、親が多忙で子どもは塾や習い事に忙しくなってくる学童期は孤食が増えてしまう時期だったりします。外来でも学童期のお子さんでは時々孤食の患者さんがいます。

家族で一緒に食事をする児童生徒の場合、野菜・果物などをよく食べていたり、食事の内容が良好であることが報告されています。欧米では家族で一緒に食事をする頻度が高いほど、野菜・果物の摂取量が多く、清涼飲料水の摂取量が少なく、ビタミン、ミネラルの摂取量が多いと報告されています。

子ども以外の孤食にも要注意です。例えばお父さんは帰宅が遅いので一人でお家で夕飯を食べているというご家庭は結構多いのではないでしょうか(うちも実は良くあります)。これも孤食の一つの形と言ってよいと思いますが、子どもには関係なさそうに見えてこれには注意すべき点が一つあります。

「子どもは夕飯に普通にご飯を食べるが…、父親が遅く帰宅し食事する時にに子どもがもう一回何か食べたくなって父親にねだり、与えてしまう」というものです。実は肥満児がいるご家庭ではあるあるだったりします…、そりゃあ太りますよね。

食事は、基本的には1人で食べるのではなく家族でそろって食べるように心がけましょう。会話をしながら楽しく食事することで、早食いも抑えることが出来ます。そして父親が遅く帰宅し夕食をとるとしても、当たり前ですが子どもに食事を与えないようにしましょう。

 

参ノ型 百味飲食

百味飲食(ひゃくみのおんじき)とは、様々な珍しい食事、おいしい食事という意味の四文字熟語です。

太りにくい食事を語る上で、「色々なものを食べることは非常に重要」です。ただ、時々「色々なものを食べること」と「たくさん食べること」がイコールになってしまっているお子さんがいるので、その点は要注意です!

肥満のお子さんは、炭水化物が大好きで野菜は食べないタイプだったり、お肉が大好きで野菜は食べないタイプだったり、往々にして食事のバランスが偏っている&野菜嫌いのお子さんが多いです。

太りにくい食事は、筋肉量を減らさずエネルギー量が少なめな食事と言えます。我々は息を吸ったり座って考え事をしている時でもエネルギー消費をしていますが、筋肉量が多いとこういった安静時のエネルギー消費量が増えるので”痩せやすい体質”であると言えます。筋肉量が少ないと太りやすい体質と言えます。

体の筋肉量を減らさず、体脂肪を減らすには「高たんぱく食、低炭水化物食」が重要ですが、たんぱく質というと「お肉」ですよね~。お肉には油(脂肪)を含んでいるものも多いので、鶏肉のような脂肪が少ないお肉だったり、調理法を工夫する(あぶら・衣をつかう揚げる調理法→油を落とす茹でる調理法にする)といった一工夫をすることが重要です。

栄養素の基準となる配分は「たんぱく質を20%、脂肪を25-30%、炭水化物を50-55%を目安に」と言われていますが…数字だけ並べられてもどうしたらよいか分かりませんよね。

お子さんの肥満で困っているお父さん・お母さんは、小児科で相談すると栄養指導を受けることが出来ます(栄養士さんが勤務している医療機関に限られるので、クリニックでは難しいと思われます)。保健センターなどでも栄養指導は受けることが出来ます。

栄養指導では、普段お子さんに与えている食事の情報を持参すると、理想的なバランスを目指した時に何が過剰で何が不足しているかのアドバイスを受けることが出来ます。

 

肆ノ型 菜食健美

だんだん引き出しが無くなってきて、ついにダジャレになってきてしまった( ノД`)シクシク…

「野菜、海藻類、きのこ類は、料理のかさを増やすことができる&満足感も与えて栄養バランスを整える働き」があります。

前の「呼吸の型」でも書いたように、肥満のお子さんは、こういった食品が嫌いでまったく食べなかったりすることが多いです。

あと、たまに外来で「野菜は食べないけど、野菜ジュースで飲んでいるから大丈夫」というような会話を聞くことがありますが、これは結構危ない考え方です。

野菜などに含まれる食物繊維は噛むことを増やす上で有用ですが「野菜ジュース」で摂ってしまうと、全く噛むことをしませんよね?食物繊維も十分摂取することが出来ません。

さらに、野菜ジュースって意外に甘いです。飲みやすくなるように糖質も多く含まれているので、野菜ジュースに頼るとむしろエネルギー過量摂取につながってしまいます。

 

伍ノ型 間食の法式・嵩

おやつは子どもにとって補食かつ楽しみの一つであるので、禁止せず上手く付き合うことが大事です。

そこで、まずは間食の法式・嵩(かさ)、つまり「おやつの量の問題」ですね。

間食が少なすぎると、食事は空腹を満たすだけの食べ方になったり、過食につながったりします。逆に間食が多すぎると、食事の際に嫌いなものを残しやすくなります。

小児肥満症診療ガイドライン2017を参考にすると、1日160kcalくらいを目安にすると良いとの記載がありますが、病院で私が肥満診療の時にお話していることとしては、

・1回の間食で100kcalに収めるように内容を決める

・間食の内容を親が全部決めるのではなく、子ども達と話し合って決める

・温かいのみもの=カロリーが入っていないお茶などと一緒におやつをとる

といったことをお話しています。

1回の間食で100kcalというのは覚えやすいですし、計算しやすいし、伝わりやすいですよね。そして、間食の内容を子どもが考えることで、カロリーを考えつつ食事の内容を考えるという姿勢が自然に身につきます。最後に、温かい飲み物はあんまりお子さんは好みませんが、温かい飲み物を一緒におやつと摂ることで、満足感がでる&早食いが防げるので、たくさん食べずに済む、という利点があります。

 

陸ノ型 間食の法式・刻

そして最後は、間食の法式・刻、つまり「おやつのタイミング」の問題です。

一般的に食事から得られる糖質=炭水化物は2-3時間で消費されてしまい、その後の血糖値は肝臓に溜められているエネルギーを切り出して維持されます。

子どもは、大人と違って肝臓が小さく蓄積されているエネルギーが少なく、食間が空くとすぐにエネルギー不足になってしまいます。赤ちゃんはその最たるもので、2~3時間ごとに食事(おっぱいを飲む)をしていますよね?

ですから、間食はタイミングが大事です。つまり、10時頃、15時頃がおやつの時間というのは、非常に理にかなっているわけです

肥満になりにくい食生活の中で、当たり前だけど非常に大事なのは「ダラダラ食べ」をしないことです。

おやつや食事は必ず時間を決めて、規則正しく食べることが基本中の基本であり、超・超・超重要です。

なぜおやつを食べるのか、おやつを食べることはどんな意味があるのか、食事の際に、大人がこどもに間食の役割を伝えることも大事です。

 

最後に

今回は、Dr.アシュアが考えた、肥満になりにくい食生活のポイントをまとめた「全集中 食の呼吸」をお送りしました。

もちろん漫画には登場しないオリジナルの呼吸なのですが、裏の設定とか色々妄想したくなっちゃいますね。基本の呼吸(日、水、炎、雷、岩、風)とは全く関係ないので、派生も何もありませんが(笑)

食柱とかは、やっぱり漫画的には太っている感じなのかしら?それだと今回考えた”肥満になりにくい食の呼吸”とか、ぶち壊しなんですけども(笑)

炭治郎のお父さんの言葉を借りて言えば「息の仕方があるんだよ、どれだけ食べても太らない息の仕方が…」!!ダメダメ、どれだけ食べても太らないなんてこたぁない(笑)

そしてやっぱり、食の呼吸を使う鬼殺隊士の日輪刀は、箸みたいな、槍みたいな形状で、かつ伊之助みたいな二刀流なんでしょうかね~。

 

…話がだいぶ脱線しました。2020年はコロナ禍で肥満児がすごく増えた年でしたし、そうでなくても長期休みの時には普段太らないお子さんでも太ってしまったりはよくある話だと思います。この「食の呼吸」がこの投稿を読んだ方の何かのお役に立てば、と思います。

最後に「食の呼吸」をまとめたものを再掲しておきます。

全集中 食の呼吸

 

 

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